金細工師
週末の日本ダービーを前に、2011年のダービー馬オルフェーヴルのことを思い出した。3冠、G1=6勝、凱旋門賞2年連続2着という輝かしい記録は50年後も語られるかもしれないが、同時に語り継がれる失態。阪神大賞典での大暴走を忘れることができない。
レースが佳境を迎えようとしたその時、勝手に走るのをやめ、ずるずる後退したかと思ったら、直線になっていきなり鬼のような足を使って追いかけた。結果は、2着。強いのか弱いのか、さっぱりわからんかった。記録にも記憶にも残る馬、というのは、こういうことを言うんだろうな、と変に感心したのを覚えている。
息子、5教科9割、450点を目標として臨んだ初めての中間テストが終わった。テスト翌日、さっそく帰ってきたのが、社会と数学。数学は9割をちょっと切る80点台でおくとして、社会が70点台前半しか取れなかった。しかも、記号で答える大問を名称で書いて×をもらってきている。もし、記号で書いていれば90点に乗ったというが、そんなこと、中学受験も経験しているのに言い訳にすらならない。本人もショックを受けたし、母親から大目玉を食らってた。
1日目で合計150点台。450点にはあと300点近く必要な状況になった。ほぼ100点とらないといけない。誰もが、そして本人でさえ予想していなかっただろうが、翌日帰ってきた英語、国語、理科ともに90点を大幅に超えてきた。結果、441点まで点数が上がったが、目標に9点足らず。早々に躓いて、猛烈に追い上げる、そして、わずかな差で負ける、まるでオルフェーヴルみたいではないか?
私が示した目標自体、まったくの適当なわけで、それで賢いとかあほとかいうつもりもない。ただ、そのオルフェーヴルの阪神大賞典のような足跡に妙に興味をひかれた。
いや、息子、父の記憶には鮮明に残ったよ。あとは、稀代の金細工師(フランス語でオルフェーヴル)になってもらいたいもんだな。