眠り姫とゲーム狂の受験日記

小学校の卒業文集に「東大、京大に入る」と書いた娘と、それを鼻で笑った父親の大学入試までの日記。それにつられて、「俺も京大」と言い放った弟の入試も添えて…

光のこうしん

 妻あての喪中はがきが届いた。昔の仕事の関係で知り合った方で、私も顔と名前ぐらいは知っている。そういえば、先方の長男君が生まれた時、帰省していたその方のご実家に妻といっしょに行ったなあ。会ったのは、妻もそれ以来だから、もう16年ぐらい会ってないはずだ。40も半ばになると、この季節、祖父母だけでなく、親が亡くなったというお知らせをいただくのは珍しくない。そんな類のものかと読み進めていた、妻が絶句した。長男君が亡くなったという知らせだった。

 その方の年賀状は、毎年、写真館で撮ったかのような正装した家族の写真のもの。それこそ、長男君が生まれたときからそんな賀状をいただいていたから、今年の正月もそうとばかり思っていた。が、慌てて今年のをみてみると、普通の年賀状。正月にもらった時は、ひょっとしたら、子供も大きくなってもう家族写真とかいう年頃でもなくなったんかな、とか思ったかもしれない。そんなことは、多々あるし…。

 ただ、その賀状に「光のこうしん(ひらがなで)を検索してみて」というのを見落としていたのは、痛恨だった。あわてて、ググってみた。写真を撮るどころではなかったことが分かった。毎日新聞や今年の24時間テレビにも取り上げられたというが、それも私たちは知らなかった。後から読むにつけ、よにいう感動の物語ではあった。

 ただ、その母親を知る私たちにとっては、素直に感動はできなかった。長男君の名前をググってみれば、「神奈川県内有数の進学校に通う」という枕詞がつく記事もあった。母親も、私ほど下世話でなくとも、将来のことを考えてワクワクしていたに違いない。が、中学2年に発症、そして4年。先に旅立たれた気持ちも、それまでの4年間の不安な気持ちも、想像すればするほど、理解できなくなってくる。

 なんか、違うのかもしれんけど、ご苦労様です。って、言ったらあかんかなあ?